今回のお話は、NPO法人Kacotam学び支援事業ディレクター斉藤さんの記事。
「生物は暗記科目か?」というお話からスタートして生物基礎をちょっとだけ解説をしておきます。
生物は暗記なのか?→暗記です。
正しくは「わかったのが最近過ぎる&難しい→小学校・中学校で習っていないことが多すぎて高校で覚えることが多すぎて暗記科目になってる」だと思ってます。
化学や地学、物理は小学校・中学校から基礎的な部分をしっかり習って、高校では発展とまでは言いませんが、考える・計算することで「(理想的な状態ではなく)現実として何が起きているか」を考えることに入っていきます。
が、生物は現実に何が起きているか「まだわかっていない/おそらくわからないままだろう」ことが多いのです(それが楽しいところでもあるのですが)。
例えば、、、
問
「コロナウイルス(Covid-19)は「Virus(ウイルス)」の一種です。生物としての特徴を備えている部分を答えなさい」
この話、小学校・中学校で習う範囲に全く入っていません。理科の他の科目ではあまり無いことなんですよね、、、。そして、ウイルスが生物なのかどうか、長い議論がありまして(一応生物の一部ってことでいいハズですが)、、、それが「生物の特徴(=生物の基本は何か)の話」につながるんですが、、高校で始めて習う内容です。化学であれば「物質の基本は原子・分子」という話は中学校で習う話です。小学校くらいでも少し触れられる話ですよね。
高校で習う物理や化学(地学)は中学までに既に習っていて(既習)、それを更に詳しく「知識を深めていく」ので、入試問題(や定期テスト)でも計算問題や思考過程を問う問題が増やしやすいわけです。
ということで、生物系は「小中学校での既習部分がほぼ無い内容を新たに習う」のでどうやってもまずはその知識があるのかどうかを問う問題にせざるを得ない、、、という感じがセンターの時代から続いています。
高校が現行の学習指導要領になった平成24年度に「生物基礎・生物」の教科書はその前までと大きく変わりました。生物系の先生方は頭を抱えたし、嬉しく思ったんじゃないかと思います。DNAの話やセカンドメッセンジャーの話がごく当然に教科書に入ってきて「今の生物学の楽しいところがやっと教えられる!」けど「さて、どうやって理解させようか、大学レベルで学習したところだぞ、、、」と。
、、、サラッと書きましたが「セカンドメッセンジャー」って知ってます?今の高校生物の教科書には出てきてる話です。でもおそらく間違いなく「大学で生物系」でない限り知らないと思うのです。そういった新しい知識を覚えること、、、は理解・考えるために絶対に必要なことだと思うわけです。
生物学は20世紀後半からの発展が異常なまでのスピードで進んでいます。特にDNA・ゲノム・タンパク質、、、といった生化学分野の発展が途轍もない速さで進んでいます。ってことは、新しい知識の量もハンパなく増えていっています。その最先端に近い話を授業で取り扱う、、、となると「思考問題に必要な知識の量」って、、、となっているわけです(笑)。
そんなわけで「生物系は暗記」です。思考するタイプのことは大学レベルでもう少し知識を身に着けないとキビシイと思っています。あ、高校生の能力でできないってことじゃなく「授業の時間数的にそこまでの時間を割いてやっていくことが不可能だ」という意味です。
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