中学理科→高校理科、のお話(その1・生物)

以前から考えてはいたのですが「中学理科と高校理科の継続的な部分のお話」を少しちゃんとまとめておこうかと思っています。

まずは生物から、、、書いてみますm(_ _)m

学習指導要領を見てみる

今回は、「学習指導要領の解説」から、、、

高等学校学習指導要領解説:文部科学省

学習指導要領が「どんな意図で改訂されたか」を書いてくれているもので、教員時代にも結構お世話になりまして(笑)。

ここに良い図が載ってるので、、、借用します。

小学校から中学校・高校へどういった内容がつながっているのか、図で作ってくれてあります(地学が右ページに入ってます)。

これを見てわかるよーに、小学校から、高校につながるお話が入っていて、、、小学校・中学校でしっかりやっておかないと「高校で理解するのが難しい」わけ、、、でもありません。

生物は継続してない、、、というか、

えーっと、私たちの世代(40代後半)の「生物」とは全く違いまして。
まず、メンデル遺伝の話はないです。
DNA→転写・翻訳→タンパク質、の話に「実際の発生がどうやってDNAで制御されるか」がくっついてる、、、のが「遺伝子とその働き」の部分です。

私たちがならった「メンデルの法則」は既に中学校の理科(中3)です(笑)。
メンデル遺伝の延長線上、、、というよりも、もっと細かい話(タンパク質生成・タンパク質=酵素として働く)、、、生化学の内容が中心となった教科書になっています。

また、細胞の話(核・葉緑体・細胞膜・細胞壁・液胞などなど)は中学からつながっていますが、どちらかと言うと「高校でしっかり全部習う」ので中学校で覚えていなくても何とかなります。
進化のお話に関しても、環境のお話も、、、、全て「高校でやる内容が非常に詳しくなる」ので中学程度の知識で何とかならない、、、、のです。

、、、ので、高校からしっかり頑張れば、何とかなります。なりますが、、、とても大変な科目になっています。

基本的に化学ですので「化学反応式」でお話をする部分が出てきます(ので、化学基礎の知識は絶対に必要になります)。反応式だけじゃなく、構造式のお話は生化学だと結構重要になります、、、が、大学に入ってからで十分です。

基本的に「誰も未だ全く習ったことのない内容」で「予想・想像もしない」よーな感じなので、高校入ってしっかりやれば(定期テストは)高得点が取れる科目、だと思います。
→ 中学までの努力した分の貯金、みたいなものが全く効かないので「点数が取りにくい」と言われる科目になっています。
大学入試で高得点を取るのが難しい科目になっていますので、「受験で使う科目」を「選択できる」のなら、選択しないことをオススメします(元生物教員のお墨付き!)。

生物基礎と生物に向けて、つながる知識・必要な知識

生物基礎・生物は「つながっている科目」ですが、化学基礎→化学のように基礎で習った知識を利用することがあまりありません。
生物基礎は、、、


2. 内容
(1) 生物と遺伝子
 ア 生物の特徴 ← 細胞のお話
 イ 遺伝子とその働き ← DNAの複製、翻訳・転写のお話
 ウ 生物と遺伝子に関する探究活動
(2) 生物の体内環境の維持
 ア 生物の体内環境 ← 恒常性のお話
 イ 生物の体内環境の維持に関する探究活動
(3) 生物の多様性と生態系
 ア 植生の多様性と分布
 イ 生態系とその保全
 ウ 生物の多様性と生態系に関する探究活動

高等学校学習指導要領p58〜59より(赤字は追加しました)

で、細胞の構造の話・DNAのお話・恒常性(体温調節とか血糖値調節とかホルモン濃度調節とか)のお話とかとか、ですね。


2内容
(1) 生命現象と物質
 ア 細胞と分子 ← 細胞が「何からできているか(タンパク質とか物質のお話)
 イ 代謝    ← エネルギーをどう作ってる・光合成って?
 ウ 遺伝情報の発現 ← 翻訳・転写、を制御する方法のお話
 エ 生命現象と物質に関する探究活動
(2) 生殖と発生 ← 生殖〜発生まで、中学では「言葉だけ」習っている
 ア 有性生殖 
 イ 動物の発生
 ウ 植物の発生
 エ 生殖と発生に関する探究活動
(3) 生物の環境応答
 ア 動物の反応と行動 ← 感覚器のお話
 イ 植物の環境応答  ← 光や水分等の刺激に対する反応のお話
 ウ 生物の環境応答に関する探究活動
(4) 生態と環境
 ア 個体群と生物群集 ← 生態系より小さい規模の「生物たち」のお話
 イ 生態系
 ウ 生態と環境に関する探究活動
(5) 生物の進化と系統
 ア 生物の進化の仕組み ← 進化のお話がDNAレベルまで(最近は教科書の最初に)
 イ 生物の系統
 ウ 生物の進化と系統に関する探究活動

高等学校学習指導要領p59〜61より(赤字は追加しました)

細胞が「何でできているか:物質として」とか・呼吸・光合成を「化学反応」として見るお話(代謝)とか・DNAの発現・制御のお話(何なら発生の段階までDNAでお話)とか・目や耳からどう情報が入力される、植物だとどう入力されているのか・生態系は「小さい集まり:個体群」でお話したり、生態系レベルのお話だったり、、、、生物基礎と似て非なるもの、だなー、と思うわけです。

ざっと見ても、生物は生物基礎の内容を覚えていないとできない内容がほぼ無いのがわかってもらえるかなー、と。
あ、もちろん、、、生物基礎で「DNAを習う」→生物で「DNAがどう発現するのか、調節方法を習う」ので、全くつながっていないわけではないですね。

ただ、ホントにそのくらいで、、、中学で習ったとなると、もっと少ないかもしれません。もしくは「すっかり忘れるくらい、中学でほんの少し習った内容」をガッツリやるイメージだったり(環境とか生態系とかはそうですね)。
あ、高校の生態系はちゃんと計算します。DNAもそうですが、、、研究で使われるよーな計算の簡単なやつが出題されます。

結局のとこ、、、「中学の生物の知識」よりも「高校化学基礎の知識」の方が生物基礎・生物には必要だったりします。(化学のお話で書く予定ですが「化学基礎・化学」には「中学の化学をしっかり覚えておく」とスゲー楽になる部分が多いので、、、そこは大事だと思っています)

結局のところ、中学で生物はどーしたらいいの?

「高校のために全部覚える」ことは非常にいいことなんですが、それをしなくても十分点数が取れるような「全員が初めて見る内容」が多いと思います。

だから中学校は気楽に何もしないでいいわけでも無いですが、、、「継続性」があまり高く無いので中学校で頑張れなかった人にとっては「とてもありがたい科目」になってるかなー、と思います。

反面、受験に利用するためには「覚える用語の数」が多い「覚える概念」が多い「今まで全く知らない知識」が多い「保護者が大学で習った内容」が多い、、、等など、昔「生物で楽に受験した世代」からすると(私もそうでした)、脅威でしかない内容になっています。
生物が好きで好きで、、、という場合は「非常に点数が取りやすい!」という生徒もいます。、、、ただ、その生物は「生化学が面白い」と思えないとダメなので「中学までの生物が好き」な人にとっては厳しい戦いになるなー、と思っています。

結局、中学でどーしたいい?

→ 生物は「化学」を使うことになるので、化学反応式を書ける・イオンがわかる、が生物を理解するための最低条件になります。しっかり生物を学ぶための「化学」を勉強しておきましょう!!

大学受験に向けて、生物を使うつもりなら「化学反応式」や「酵素基質反応」なんて事がサラッと出てくるよーにならないと!!!
大学受験・生物(理科全部)、教えてますー。よかったらどーぞ。

入塾・家庭教師について

面談・体験授業からスタートしています。

個別のお問い合わせもこちらからお願いします。

家庭教師がつくる塾BASEホームページ
札幌の家庭教師屋さんホームページ も御覧ください。m(_ _)m

この記事を書いた人
すぎやま

札幌の家庭教師屋さん・家庭教師がつくる塾BASEの人
名古屋出身・富山大学卒・富山で小学校講師・北海道で公立高校教員・家庭教師をしていたら塾ができていました。

すぎやまをフォローする
勉強方法教育
シェアする
すぎやまをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました