「合理的配慮」と「教員の疲弊」と「定員割れ合格」のお話

よくTwitterからブログのネタを引っ張ってきます。書きたいなーと思ってる話はたくさんあるのですが「小難しい話」になりがちなので、何か話しやすくなる元ネタがほしいなーと思いながらTwitterをみてるわけです。それで「あ、これ」というお話を見つけたときにブログにしてる、、、という感じでして。
で、今回も以下のTweetがスタートですm(_ _)m。

このafcp氏、児童精神科のお医者様で、医療系(特に発達障害など)のお話中心なんですが、たまに「教育との境界線」のお話を書いてくださるので、、、結構、読んでしまうんです。あ、ちなみに「ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち」の著者の方です(リンク先、アマゾン:アフェリエイトしてないので、純粋にお勧めしてるだけです(笑))。

高校入試における「合理的配慮」についてのお話ですm(_ _)m

高校入試の「合理的配慮」とは?

合理的配慮、の話の前に、いくつか続きのTweetを。

Twitterで書かれているものだけ見ても高校入試の際に「介助者」だったり「看護師」だったりを配置してもらうことができる(できるかも?)というのがわかると思うのですが、、、琉球新報の記事を読むと


申請を受け、調整委員会は県教委の配慮が不十分だったと指摘した。今春の入試では調整委員会の提言を受けて、支援員の増員や代読・代筆が認められた。

知的障がいの仲村さん、再び不合格 高校受験 家族「学力選抜での不合格は差別」

という感じで「入試の支援」として「代読する・代筆する」が認められる=「合理的な配慮」ということになっているわけです。

合理的配慮ってなんだ?

言葉のままですが「合理的に判断できる配慮」のことで、、、
例えば「目が見えない人に、問題を読み上げる/点字の問題を作る」といったことは「合理的に判断して」必要だと言えるわけです。

単純化すれば「当たり前に考えて、必要だと思われることをする」こと=「合理的配慮」だと言えると思っています。

で、、、どこまでが「合理的配慮」の範疇か、というお話になってるわけです。
神戸市は「脳性まひの受験者に対して看護師は付けない」という判断をました。「代読・代筆を認める」という判断はしているので、配慮していないわけではないですが、何が違うのか?という疑問はでてくるわけで、、、、。

沖縄の話も合わせて考えると、どうやら「代読・代筆」は全国的に認められる「配慮」のようです。
近年少しずつ配慮の幅は広がっていっているように思います。「どこまで配慮するべきなのか」は難しい問題を含んでいますが「多様性社会」や「インクルーシブ教育」を目指すという意味ではできる限りの配慮は必要だろう、と考えています。

同時に「合理的配慮ではない」も考えておく必要はありそう

同時に、特に配慮が必要ない生徒たちについても考えておく必要はありそうです。
「配慮が必要ない」人たちであっても「パソコンで記述する方が早い・楽」な人が居るかもしれないですし「音読を聞くほうが問題を解くのが楽」な人が居るかもしれません。

合理的配慮は「特別な人に特別な方法を」ではなく「誰にでも同じように受験の(教育の)機会を」という考えが発端のハズで、、、どーしても「特別な支援を必要とする人に対しての配慮」と考えがちですが合理的に判断できることであれば配慮するわけですから「特別な支援」ではなく「通常の支援」として(目が悪い人が眼鏡をかけるように)、PCの利用や代読(問題の音声読み上げ)が利用できるのが当然なはず、、、だと思うのですが、まだそういった「合理的な判断」は成されていないようです。

教員の疲弊

誰が「配慮が必要である」と判断するのか、、、、。
→ 基本的には教育委員会になるはずです。そして「各高校(学校)が窓口になって話をする」ことになっていて、、、。配慮する(対応するのはもちろん教員の仕事になるわけです。

先生のする仕事は多岐にわたるわけですが、、、受験に対する配慮ってのも昔からあって、、、。
よくあるものとしては「インフルエンザに感染したので、別室で受験したい」といった場合の為に「別室の受験室を1〜2室準備しておく(ほとんどの場合使われない)」とかですね。

更に例えば、、、「脳性まひの受験生が来る」となると受験室は別・付添が必要で、そのための準備(付添者に対して受験についての禁止事項を作って提示する、必要な機材があるのか確認・購入(レンタル?)する→受験に関係する単語が記載されていないか確認テープで隠して大丈夫か確認打ち合わせ、急変した時の対応・救急車病院の確認)は「その一人の受験生の為に必要」だろうと思われます。

もちろん、他の生徒と同様に「平等に受験してもらう」為に必要な準備・措置ですので、公立高校である限り、やるべきです。

これ、複数名受験した場合を考えるとどうでしょうか
一人合格した・受験した、となると「受け入れてもらえる」となって受験者が増えることは想定されます。その高校の受験は、かなり負担が増えることが予想されると思います。
そして、公立高校の先生は「異動」をします。でも「そこは行きたくない」という権利があるんですよね、、、。今、先生方の仕事は多岐に渡って、大量にあります。ちょっと、嫌な話ですが「あの高校は忙しくなるから行きたくない」となりそうですよね。

さらに言えば、、、、。
もしかするとこれが「最後の一滴」で心が折れてしまう先生もいるかもしれません。積もり積もった辛さの上に、「その対応自体は大したことではない」ことが乗っかった時に、「もうダメ」となる先生はいるかもしれないなー、と思うわけです。
そう思うと、、、公立高校・普通科がどこまで対応するべきか、インクルーシブ教育ってものがホントにできる状況・状態に今あるのか、もう一度考えるべき、、、かもしれないなー、と思うわけです。

公立高校の「定員割れ合格」というお話

最初のTweetの記事は、もう一つ大きな問題を問うていました。

「定員割れしていて、不合格なのか?」「公立高校は生徒を受け入れる義務があるはずなのに?」
という「定員割れ合格」というお話があるのです。

公立高校は「受験者を受け入れる」という義務(責務?)があるとされています。


「出願者が募集人員に満たない場合は、特別の支障がない限り全員を入学させるよう配慮することについて通知している。なお、高等学校において定員内不合格を出す場合には、教育委員会に対し、協議に準じて相談することとしている」(北海道)

公立高校の定員内不合格を初調査 全国で延べ1631人(教育新聞webより)

北海道は上記のようなコメントを出しており、基本的に「定員内であれば不合格は出さない」「出すなら教育委員会と協議」というルールがあるようです。、、、ようです、というか、そうでした。過去、定員内で不合格者を出す手続きを見たことがありますが、かなり手間をかけて教育委員会と話をしていたのを覚えています。

全国的には

公立高校の定員内不合格を初調査 全国で延べ1631人
高校入試で定員割れを起こしているにもかかわらず入学できない受験生がいる「定員内不合格」が、2022年度に全国の公立高校で延べ1631人いたことが12月27日、文科省の調査で分かった。文科省が定員内不合格の数を調べたのは今回が初めて。定員内不合格がいない都道府県から、多いところでは100人を超えているなど、都道府県によっ...

にあるように、1600人ほどが「定員内不合格」となっているようです。

あくまで「基本的に」ですが、「定員割れしている高校は不合格にならない」です。

ですが、上記の記事でもあるように(またTweetにあったように)、不合格者がいるわけです。
そして、それが「合理的な配慮」を必要とする生徒が多い(ような事を仄めかしている記事がある)のです。
もっと具体的に「テストで点数が取れないことが知的障がいの特性であり、今の選抜制度では本人の努力が反映されない。2次募集でも学力選抜で定員内不合格とされることは差別だ」知的障がいの仲村さん、再び不合格 高校受験 家族「学力選抜での不合格は差別」・琉球新報)という記事もあったり、、、、。

公立高校は、「公的な高校」ですので公(おおやけ)の働きを持っています。その為「入りたい生徒を(理由なく)拒まない」ことが求められています(し、そーなってます)。

ですが「理由がある」のであれば拒否すること(不合格)はできるわけです。
「学力が明確に足りていない(=かけ算できないレベルで高校に来ても理解できるわけがない)」とか「本人に就学の意思がない(=入りたくないなら入らなくてもいい)」などは理由として「それで不合格はダメだ!」と言われるようなものではなく「まあ、そうか、そうだよね」と(不本意ながらも)納得が行くものだと思うのです。

とても単純な考え方として「学力が足りないけど、大学に入りたい」が認められないのと同じで高校も義務教育ではないので「学力が足りないので、不合格」は普通だろう、、、と思うわけです。
また、「障害を理由として不合格はダメだ」とも思います

ただ、、、、
障害(視覚・聴覚・知的・肢体不自由)がある生徒が「公立高校普通科」に進学したいと言った時、どこまで公立高校は対応できるでしょうか?
公立高校普通科に居る先生方の大半は「特別支援教諭免許」を持っているわけではありません。各障害ごとに、特別支援の免許は違っていて、、、学ぶべき内容も違います。視覚障害と聴覚障害が同じ免許になるはずないですし、知的障害についても肢体不自由についても、知るべきことが違うわけです。
そして、それを学び免許を持つ先生方は特別支援学校(高等支援学校)にいます、当然ですが。

さて、公立高校はどこまで対応できるでしょうか?
先生方の何割かを特別支援免許を持つ先生にしてまで対応するべきでしょうか?
務教育の特別支援教室・通級指導教室などに「特別支援教諭免許を持つ先生が少ない」という声がある中で、、、公立高校はどこまでできるでしょうか?

まとめない、まとめ

大きなポイントの一つとして「どこまで公立高校に求めるべきか」ということがあると思います。
全てを公立高校に求めることは難しいだろうなー、と思います。
どーしても、その高校に入りたい」のであれば、入るための条件をクリアする必要があるだろう、と思うわけです。
条件の一つには「学力が一定レベル以上あること」と言われたりするだろうと思います。
それがクリアできることが「その高校に入学するための条件である」と言われたのであれば、それをクリアできなければダメ、でしかたないだろうなー、と思います。

同時に、障害がある場合、それを補うことができる受験方法は絶対に必要だと思います。
ただ、知的障害について「テストで点数が取れないのは知的障害があるからだ」「だから、別の方法で合格させて欲しい」という方向は「合理的配慮」に入るかどうか、、、今の時代だとまだ難しいと思います。

知的な障害も色々ありますので、ひとくくりでお話できませんが、、、。「テストで点数を取ることで入学を判断する」という「高校入試のルールの根本」から変えるお話をするのを「配慮」とは呼ばないかな、というのが私の感覚です。
もちろん、全ての知的障害の人が不合格になるわけではないです、一定程度の学力を持つことができる知的障害の生徒さんも居るので。

そして、教員が全ての事務仕事〜調整まで、担っていますが、、、それって「高校教員の仕事」ですかね?
公立高校普通科で教えるってのは、、、どこまでの範囲の知識と経験を要求されるんでしょう?
何度か過去にも書いてますが、、、我が先輩の一言「保護者は教員にスーパーマンであってほしいと思っている」ってのが未だにあるんだろうなー、と思います。「授業をやれば東大に合格させ、部活を教えれば全国大会に出場させ、精神的に調子の悪い生徒のケアができ、保護者の相談にのって、休日何かあれば駆けつけてくれるのが普通で、最低でも2つはできてもらわないと困る」、、、ここに「障害のある生徒への教育も完璧にできる」を加えなきゃダメなんでしょうね、きっと、、、、。

この先、きっと高校はもっと「明確に分かれていく」と思います。大学受験を意識した、入るのが難しい高校と、大学受験をしない、誰でも入ることができる高校、、、に。しかも悪い意味で明確化するような気がしています。それが嫌だなー、と思いつつ、、、。

まとまらず、終わり。

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この記事を書いた人
すぎやま

札幌の家庭教師屋さん・家庭教師がつくる塾BASEの人
名古屋出身・富山大学卒・富山で小学校講師・北海道で公立高校教員・家庭教師をしていたら塾ができていました。

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