家庭教師が保護者に対して話しにくいけど話すこと
今回の話は、、、
- ADHDとかLDとか特別支援という話です。
- 一部イヤな話があるかもしれないです。
- 学校(小学校・中学校、、高校も?)が特別な支援が必要な生徒をどう判定しているか
- ご家庭がどうしたらいいのか、、、(私の考えていること)
といった話です。少し長い話です。途中のムービーも是非見ていただきたいです。
家庭教師がこういった中で何ができるのか、、、という話がもう一つのテーマです。
特別な支援を要する生徒、という表現
文部科学省のページでは「特別支援教育について」という項目のすぐ下に「主な発達障害の定義について」という形で「発達障害」という症状(?)に焦点を当てていますし、「クラスの中の6.5%程度がなんらかの形で学校の学習に困難があり支援が必要である」というデータもあります。
ただ、ここで焦点を当てられているのは「発達障害」や「広汎性発達障害」と呼ばれる症状に当てはまる児童、生徒です。それを「特別な支援を要する生徒」として、話がされています。
最近有名になったムービーがあります。
小児期の注意欠陥多動性障害に関しての動画です(2020年5月現在・動画はなくなっています)。近年、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(AD/HD)について理解が進んでいるように思います。小学校や中学校ではそういった症状が確認できた児童・生徒は「特別な支援を要する」ということで専門的な形での授業を受けたりする形になっているかと思います。「症状の確認」は教員は全く関与しません、医者の診断が必要です、当然ですが。
ここに、大きな問題点が隠れて、、、いや、見えているんですが学校教員だと対応できない、ということが起きています。
特別な支援を要しない生徒、という表現
まあ、単純に「別になんともない普通の児童・生徒」ということです。
ところが、前段で書いたとおり、特別な支援を要する生徒の「「症状の確認」は教員は全く関与しません、医者の診断が必要」なわけです。つまり「ご家庭として児童・生徒を病院へ連れて行って診断を受けていない」場合は「特別な支援を要する生徒にはならない」わけです。当たり前です、学校が勝手にそんな判定して、支援するようなことをしていたら、、、訴えられて負けますよね(笑)。
つまり、支援があきらかに必要な状態であってもご家庭から何も申し出がない場合、「何も出来ない」わけです。
これが、学校側の理屈です。
他方、ご家庭としては、、、
「子どもが自分が障害があると知ると落ち込むんじゃないか」
「ウチの子はそんな状態ではない、ちょっとできないだけだ」
「診断を受けてみたけれど結局なんともないと言われた」
勉強が出来ないだけであればご両親もそこまで心配しないと思うのです。部屋の片付けが出来ないだけであればそこまで心配しないと思うのです。何度も注意しても同じ失敗をしてしまうこと、勉強していても明らかに集中していないこと、ボーっとしている時には何を話しても伝わらないこと、、、こういったことが気になって心配しているんじゃないかと思うのです。どれだけ言っても、他の兄弟姉妹と同じだけ話をしても通じない、、、心配になって当然だと思うのです。
心配であっても診断してもらうわけにも行かなくて、、、という場合「学校が特別扱いして動く」ことはないことを理解して欲しいと思います。他の児童・生徒と比べ、明らかに学力が低く、自学(宿題や提出物)もせず授業の指示も従わない(上記ムービーのような)状態であっても学校の先生たちは特段何をすることもなく通常の生徒と同様の扱いをせざるを得ないのです。
またその時に、ネットで調べた知識だけで判断をしないで欲しいのです。本当に専門的に調べた時にでてきた「診断」というのは素人が調べた結果と全く違う結果が出ていることもあります。専門的に学んでいる人(私は特別支援教員2種免許を持ってますが)であっても、分からないことが多いです。私がその傾向があるかもしれない、、、と思っていても「全く診断で出ませんでした」ということも当然ですがよくあります。
グレーゾーンという抜け穴
「全く診断に出ませんでした」となると、「何故なんだ?」という疑問だけが残るわけですが、、、よくあるのが「グレーゾーン」とか「ボーダーライン」という話です。
つまり、診断にでるほどではないけれど、その傾向はあるという状態です。私が高校で見てきたそういう傾向のある生徒の大半は診断が出ない程度ですが「授業を受けるのに著しく支障がある生徒」ばかりでした。
何故なんでしょ?
単純なんです、「小学校からの積み残し」と「診断されていないこと」が理由です。
おそらくは幼稚園(保育園)の頃から、、、勉強という話であれば小学校時代からその「傾向」はあったわけです。ですが、「診断が出ていない(診断を受けていない、もしくはグレーゾーンである)」ので学校として「特別な支援」をするのは難しい状態です。そうするとどうしても「他の児童・生徒よりは理解が遅れても、本人の努力が足りないことを理由とされます」単純に言えば「授業がわからない状態で置いて行かれる」わけです。ですが、それは実際には「グレーゾーンに居て(もしくはその症状があって)、学習に向かう力がない場合がある(もしくは異なる方法を利用する必要がある)」わけです。そして、それが小学校の内容だけでなく、中学校でも同様に置いて行かれていたとしたら、、、どうでしょうか?
まるで授業が理解できない状態にある、、、想像に難くないですよね。
じゃあ、診断を受けることが正しいのか?
絶対的に、正しいわけではありません。それは声を大にして言います。
その子ごとに状況も違いますし、状態も違いますのでひとくくりで話をするつもりはありません。ご家庭の判断が最も正しいと思います。
ただ、今までの経験上、上記のような「まったく授業が理解できない状態」になってからの相談が多いのも事実です。
また、病院に行っても「グレーゾーンだから学校には言わないで(相談しないで)いる」という話もよく聞きます。学校「も」一緒になってお子さんを見てもらわないとできないことがあることを是非知ってほしいのです。何も学校は見捨てようとしているわけではありません(たぶん)。ただ手続きとして「保護者からの申し出」が無い限り動くことは難しいと思います。
それは前述したとおり勝手に判定をし、勝手に特別な支援を要する生徒とすることは「その子の人権、その子、親への冒涜」にあたると思いますし、非常にデリケートな問題ですから、そこは学校の先生は話をしにくいところだと思います。
家庭教師が保護者に対して話しにくいけど話すこと
私は学校教員ではないので(笑)「もしかしてADHDとかLDと言われたことありませんか?」と確認することがあります。ものすごく失礼なことを聞いていることは重々承知の上です。それは「単純に勉強を教えるだけでなく、特性があるならそれに合わせた形でやっていかないと何も出来ないことがある」と考えているからです。
例えば、集中力が持続しない性質が強くある生徒であっても繰り返し書いて覚えるような形でやらざるを得ないこともあります。ですが、特性があることがわかっていれば「何で出来ないんだ」ではなく「そうか、苦手だよな」という話で進めることが可能です。(その場合、繰り返し書くことを他の生徒よりも細かく区切って時間をかけて進めることで、できるようになる生徒が多いと感じています)
どんな子に対しても同じように進めればいい、という考えもありますが、「ただの甘やかし」「簡単な課題、宿題」になってしまう場合がありえるわけです。ですから、特性を知りそれを利用して進めることが一番だと考えています。
そんなわけで、、、伺いにくい話ではありますが、かなり早い段階で「非常に失礼なこと」を聞くことがあります。その際は上に書いたような話をするようにしています。ホントに申し訳ないなあ、、、と思いつつも。
まとめ
他の子よりも勉強が苦手なだけでなく「少しこだわりあるなあ」と感じた時には、是非相談してください。相談相手は「学校の先生」でも「家庭教師」でも「お医者さん」でもいいかと思います。
その上で、必要があると感じられた時には「診断」をしてもらうことをオススメしています。それはここまで書いてきたように「学校」と「ご家庭」(と「家庭教師」)が一緒になって教えることでしかできない事があると考えているからです。その為にお子さんがどのような状況にあるのか正確に診断をし、それを見て判断をするべき(素人考えだけで進めることが正しいのか?怖さがある)と考えています。
家庭教師は学校の先生じゃないので、好き勝手に「それ、ADHDとかLDとか言われる状況じゃないんですか?」と言えます。ですので、聞きます。ホント失礼なこと聞いて申し訳ありません。でも、理由があるんです、許してもらえるとありがたいです、、、という話でした。
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