高校でも支援、のお話

2018年4月から「高等学校における通級による指導」が制度として開始されました。

高等学校における特別支援教育に関する資料 - 教育庁学校教育局高校教育課
高等学校における特別支援教育に関係する資料 通級による指導 ・道立高等学校等における通級による指導(新入生・保護者...

↑のページに「令和7年度(2025年度)「通級による指導」実施校」が出ていましたが、、、
思ったより少ない、、、いやそんなもんなのかなー、、、と色々思いまして。
ちょっと「高校の通級」のお話を書いておきたいと思います。

通級って何するところ?

「そもそも、通級がよくわからない」って話があるので、、、
高校の通級に関して、どういったことを言ってるか、読み解いておきます。

道立高等学校等における「通級による指導」(新入生・保護者向けリーフレット改訂版)には以下のように記載されています。


道立高等学校等における「通級による指導」(新入生・保護者向けリーフレット改訂版) より

対象生徒は大雑把な区切りだと「障害がある生徒」。細かく言えば「学習上・生活上の困難がある(改善・克服しないとヤバい)生徒」。
支援としては「自立活動」の支援が主なものになる感じ、、、です。
「生活習慣」とか「情緒安定」とか「コミュニケーション・人間関係」「姿勢維持」みたいな、、、この先、生きていく上で必要な「技術」として身につけていくための支援、という感じですね。

令和7年度(2025年度)「通級による指導」実施校

今年度、実施するのは


札幌西高等学校(定時制課程)、札幌琴似工業高等学校(定時制課程)、名寄高等学校、大樹高等学校、更別農業高等学校

高等学校における特別支援教育に関する資料 より

この5校でした(北海道教育委員会では)。札幌市は昨年度、大通高校が通級指導をしているようです。

https://www.city.sapporo.jp/kyoiku/suisin/documents/r6tokubetushienkyouikunojoukyou.pdf

少ないよーな気がするんですが、どーなんでしょーか?
まあ、でも、、高校生相手ならこんなもんな気もしますが、、、。

高校生で通級が必要な生徒

つまり、上で書いたような「自立活動」ができていない高校生、が道教委がイメージしてる「通級が必要であろ生徒」だと言えそうです。

具体的には、、、


道立高等学校等における「通級による指導」の手引(資料編) より

といった感じの生徒が対象、、、のようです。
そーすろと、別の問題(疑問?)が出てくるわけです。

「こういった事ができない生徒は、どのくらい高校に進学していて・どのくらい高等支援学校に行っているのか?」
≒ 公立高校で通級で対応するべきなのか?
 という疑問は、、、どーしても出てきますよね。

通級が必要な生徒、実像

実は「ちょっとだけ困ってる」くらいの生徒が通級指導を「ちょっとだけ使う」事ができるとホントは一番良いんです。

「パニックになるほどじゃないけれど、心臓がバクバクして落ち着かなくてミスが多くなる生徒」とか「他人の気持ちがわからないから、1人で静かに過ごしている生徒」とか「授業の内容はわかるけど、周囲に人が居ると注意が散漫になってわからない時がある生徒」とか、、、。
困ってるように見えないけど、実は「専門的な知識で支援した方がいいかもしれれない生徒」がたくさん居るよーな気がするんですよね、、、。

そういった生徒の大半は「診断受けていない」状態で、、、。
おそらく「特別な支援を要する生徒」と学校に認識されてるけれど「通級を活用するべき」だとは思われていない生徒たちがそれなりの人数居て、、、、。

実はそういった生徒が「ちょっとだけ使える通級指導」みたいな形があるといいよなー、と思うわけです。

特別な支援を要する生徒とインクルーシブ教育と、、、

特別な支援を要する生徒、というのは、、、
「診断書があって、明らかに障害がある生徒」だけではなく、「学校が、支援を必要としていると判断した」とか「保護者・本人から支援の要請があった」場合に、学校の判断で支援をしている生徒のことです。

そんなわけで、医学的に支援が必要な状態かどうかはよくわからないけれど「本人が学習をする上で・学校生活の中で、困っている」なら支援をしている、、、ってことがあります。

→ インクルーシブ教育、ってのはこの概念が大事だなー、と個人的にはそう思ってます。
医学的にどーのーこーのー、じゃなく「本人が困ってるから何とかしよう」というスタート、、、が大事だ、と。

とはいえ、通級指導をそのレベルで受け入れ始めると、通級指導をする生徒が無制限に増えてしまうので「ある程度のレベル(診断書がある・医者からの要請がある、など)を超えないとダメ」というのは当然かな、とも思います。

そういった意味では「高校の通級」が「年間で5校(6校)」しかない、ってのはそうだろうなー、と思いますし、半分が定時制(札幌西・琴似工業・大通)というのも、納得ですし、それ以外の高校がどちらかというと学力が低めの高校(名寄・大樹・更別農業)というのも、まあ、納得する範囲です(名寄が少し意外でしたが、合併してましたね、そういえば)。

差別するつもりはないのですが、、、学力がある一定以上身についている場合、困り感は非常に減るようです。
「学力がないので自立活動ができず困っている」のか「自立活動ができないので学力が低く困っている」のか、どちらが主・どちらが従なのかはわかりませんが、密接に関係していることは誰も否定しないかな、と思います。
→ そう考えを進めると、、、「高校の通級はホントに必要なのか?」、、、と思ってしまったわけです。

それが、前半で書いていた
「こういった事ができない生徒は、どのくらい高校に進学していて・どのくらい高等支援学校に行っているのか?」
≒ 公立高校で通級で対応するべきなのか?
という私の中の疑問に繋がっていて、、、。

「通級指導が必要なレベルだという生徒さんがどのくらい高校に進学しているのか」≒「どのくらい高校の通級が望まれているのか」、、、結構大事なことだなー、と思っています。
それは、、、


障害(視覚・聴覚・知的・肢体不自由)がある生徒が「公立高校普通科」に進学したいと言った時、どこまで公立高校は対応できるでしょうか?
公立高校普通科に居る先生方の大半は「特別支援教諭免許」を持っているわけではありません。各障害ごとに、特別支援の免許は違っていて、、、学ぶべき内容も違います。視覚障害と聴覚障害が同じ免許になるはずないですし、知的障害についても肢体不自由についても、知るべきことが違うわけです。
そして、それを学び免許を持つ先生方は特別支援学校(高等支援学校)にいます、当然ですが。

さて、公立高校はどこまで対応できるでしょうか?
先生方の何割かを特別支援免許を持つ先生にしてまで対応するべきでしょうか?
務教育の特別支援教室・通級指導教室などに「特別支援教諭免許を持つ先生が少ない」という声がある中で、、、公立高校はどこまでできるでしょうか?

「合理的配慮」と「教員の疲弊」と「定員割れ合格」のお話 より

公立高校には「特別支援の免許を持っていない先生の方が多い」わけです。
ですので、通級での指導などの経験は皆無です。
もっと言えば、「特別支援教諭免許を持たない教員が通級指導に関係している可能性も高い」わけです。

今年度の高校の通級は「5校(6校)」、そこまで通級が広がっている感じはしません、、よね?
継続する必要・意味があるか、それとも高校はそういった機能は持たず「高等支援学校や外部機関(≒児童デイのような福祉機関)に任せる」方がいいのか、考える必要がある気が、、、しませんか?

どこまで公立高校に任せますか?
全部、オールインクルーシブな教育、、は無理です、どー考えても。教員が足りないです、絶対に(笑)。

高等支援学校に行く生徒の割合が高いなら、、、高等支援に「巡回指導をお願いする」のが筋かなーと思うんですが、、、違うんですかね??
特別な支援を要する生徒、を支援することもままならない公立高校が多いよーな気もしています。
今は、その上、通級も、、、という状況。
なんか似たようなことを何度も書いておりますが「学校がするべきことが増えすぎて、先生だけでは手が回らない状況」に陥ってると思っています。支援するのは学校以外でもできます(もちろん、有料ですが、、、)。

支援の専門家は高等支援学校にいらっしゃったりしますので、「支援が必要」=「支援が無いと学習がかなり難しい状態」であれば高等支援学校を考える必要があるよーな気がするんですが、、、そうではなく「高校」という選択をする生徒さんがたくさん居るのであれば、「通級での指導はもっと広がるべき」だと思うのです。
(が、7年経ちましたが、今年度は6校でしか実施されてない、という状況は、、、「推して知るべし」かも?)

、、、で、「こういった事ができない生徒は、どのくらい高校に進学していて・どのくらい高等支援学校に行っているのか?」≒ 公立高校で通級で対応するべきなのか?につながるわけです、、、くどいですが(笑)

最後に。
私の先輩のお言葉で終わりにしたいと思います。

「保護者は教員はスーパーマンだと深層心理では思っている
だから「授業をやればわかりやすい授業をし・東大に合格させ、部活を教えれば初心者が上達し・全国大会で優勝させて、精神的に弱い生徒のケアができ、保護者の相談にのり、休日何かあれば自宅まで駆けつけてくれて、通級指導すれば完璧な指導を、特別な配慮を要する生徒への対応もできる先生を保護者は望んでいる」わけです。

そして「全部できるわけじゃないだろうけど、この内2つか3つは同時にできるはず」と思われているわけです。
、、、よく考えてください。「東大に合格させて、通級指導できる」とか「生徒の精神ケアが得意で、部活指導もできる」とか、、、「プライベートを潰さないとどう考えても無理」だったりしますよね(笑)。それを望まれてるんですよねー、先生って仕事は。

先生方が無理をして成り立つ事、少しずつ辞めていかないと、、、高校だけじゃなく小学校、中学校もダメになってしまう気がしてるんですが、、、。
杞憂でおわることを望んでおりますm(_ _)m

ご相談・お問い合わせ

個人的には、塾などの社会教育が学校教育の一部代替になれるといいのになー、と思っています。
ウチの塾・家庭教師はお話聞いて・遊びながら・その子のペースで・やれることから、みたいな状況の生徒さん(ほんの少しだけ配慮を要するかもしれない生徒さん)が多く在籍しています。高校で通級は必要ないけれど、先生方にちゃんと理解してもらえるように、小学校〜中学校の状況を把握しつつ進めています。

気になることあれば以下の問い合わせ方法でご連絡ください。

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基本的に、当日中(24時間以内)に返信させていただいております。返信がない場合、迷惑メールフォルダなどをご確認ください。

よろしくお願いしますm(_ _)m

この記事を書いた人
すぎやま

札幌の家庭教師屋さん・家庭教師がつくる塾BASEの人
名古屋出身・富山大学卒・富山で小学校講師・北海道で公立高校教員・家庭教師をしていたら塾ができていました。

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