多段階思考、というお話(北海道公立高校入試問題で説明)

ここ数年、生徒を教えていても、保護者とお話するときにも「多段階で考える」というお話をすることが増えました。大学時代くらいから「単純な考える」と「複雑な考える」があるなー、と思ってまして、、、数学の問題とかだと意識しやすいんですが、そうじゃない教科科目でも「多段階思考」してるよなー、と。

多段階思考のお話をしなきゃなー、と思いつつイマイチうまく書ける自信がないのですが、、、とりあえず書いておきます(その内、アップデートしていく、、、と思いますm(_ _)m)。

北海道の公立高校入試を見てみる

多段階思考とか急に言われてもわかりにくいと思うので、一旦「高校入試の問題」を見てもらって、、、ちょっと何を言いたいのか、書いてみようと思います。

2024年・国語

問題を全て載せると大変なことになるんで、問だけですm(_ _)m
問題(小説:江戸時代の本屋のお話)の一文から「江戸と現代の本について調べた」になります。
そのうえで「二人がそれぞれ調べたことを報告し合っている会話の一部です。これを参考に、(中略)身近な例を用いてそれぞれ書きなさい」となっているわけです。

2024年北海道公立高校入試問題 国語 より

さて、何を書いたらいいか、わかりましたか?
本文は「小説(物語)」で、江戸時代の話しか書いていませんので「本文から引っ張ってきて、それだけでなんとかする」ことはできません。この二人の会話をそのまま使って書く、、、といっても「身近な例を」と言っているので何か例を探す必要があります。
探す?どこから??

→ 「今までの経験・生活の中で感じたことを利用して文を書く」わけです。
ただ「知ってること・覚えてること・本文にあること」を書くだけじゃなく「知識として自分の中にあるものを使って」「題意に沿った内容を持ってきて」「題意に沿った文を書く」というパターンで出題されています。

模範解答は「庶民が寝転んで本を読んでいたことは、ソファなどでリラックスして読むことがある現代と共通しているが、本が大量に印刷できず貴重であったことは、図書館や電子書籍等、たくさんの本がある現代とは異なる。」とされてます。
、、、書けます?

2024年・社会

2024年北海道公立高校入試問題 社会 より

「目的は何か、簡単に書きなさい」という問いですが、、、企業がしている「社会活動」や「ボランティア活動」とかの話を書け、ということだなー、方向的にはそっちだよなー、くらいはわかると思うんです。
で、「社会貢献」だとか「社会に対して企業が**する」という言葉・文が思い浮かばないと、難しい問題だと思います。
ちなみに、模範解答は「企業の社会的責任を果たすこと」となっています。
「企業→社会」という方向の事柄を「社会的責任を果たす」という言葉に置き換えられ、、、ます?

2024年北海道公立高校入試問題 社会 より

これは、資料を読み取る力があるかどうか、だと思いますが、、、。
「受傷人骨数」が増えている(+割合も増えている)ので、怪我で死んだ(傷で死んだ)人が増えていること、が一つ。
住居跡の地図から、明らかに「堀」と「河川」で囲まれた土地(しかも高台っぽい)に住居を建てていて、「守り」を考えるよーな、お城を建てるよーな、、、感じになっている、のがもう一つ。
 → 戦いがあって、守るために砦っぽくなっていて、戦いでの死者が増えてる、、、だろうな、と想像されるわけです。
ちなみに、「ムラどうしの戦いがあった」が模範解答です。

さて、どーでしょう?社会は暗記科目、覚えていれば解けるではなく「考えて、知識を持ってきて、短い文にする」という力が必要になってきている、ってのはわかっていただけるかと思います。

2024年・英語

英語は、一部だけ取り出すのが難しい問題だったんで、1ページ持ってきてますm(_ _)m

2024年北海道公立高校入試問題 英語 より

問1「本文の内容から考えて」→「読んで内容理解できてるよね?」ってことですな(笑)。
タイムテーブル(スケジュール)が出てるので、コーラスの後にあるイベントを全部選べばいいだけですが、※までちゃんと読んで「保護者とお客さんは15時まで」がわかってるかどうか、、、みたいなよくあるパターンですね。

問2は読み取った内容との正誤問題。ちょっと前までセンター入試でよく出たような問題形式に見えますよねー。

問3、聞くための英文を覚えている+主語に合わせて書き換えれる、は最低限できないと書けませんね。
そのうえで「内容にあった単語を覚えている・書ける」じゃないと、書けないわけです。

多段階で考えるのが必要、と保護者に話をする

こんな問題出てると心配になるわけです。「解けるかな?」と。
えーっと、先に言ってしまいますが、入試のテクニック的には「解ける必要がない」です。これだけが点数になるわけじゃないので、他の問題で点数が取れればいいんです。

ただ、これが「授業も似たような事をしている」とか「大学入試でも必要な能力だ」という場合、どうでしょう?
、、、これが学校の勉強の主流になってきてるという場合、どうでしょう?

授業中、コミュニケーション取りながらだと「書ける・できる」けれど「一人でイチから考えるとできない」状態の生徒さんはとても多いと思います。
定期テストで60点〜70点くらい取る生徒でもできない子多いかもしれないです。「何となく」で文章が書けてしまう子は書けないこと多いです。「書き方」だとか「考え方」をしっかり学ばないとできなくなるんですよね、こーゆーのって、、、。

多段階って結局なんだ?

多段階じゃないもの、提示してみますねー。

2024年・理科

2024年北海道公立高校入試問題 理科 より

わかりやすい一問一答ですね。多段階ではなく「覚えた内容=答え」になる問題です。

2024年北海道公立高校入試問題 理科 より

このくらいから「何段階か、考えて解く必要がある」問題になっています。
「何J(ジュール)か、書きなさい」ですので、答えがJ(ジュール)になるように計算する必要があります。
わかっているのは「3V・150mA(0.15A)を300秒使った」ということです。
電気といえばオームの法則!と思いがちですが、電力(W:ワット)を求めて電力量(Ws:ワット秒)=J(ジュール)を求めるという2段階です(電圧(V)×電流(A)=電力(W)、電力(W)×時間(秒)=電力量(J)、の2つの式を使う)。

つまり、単純に「一個考えれば答えが出る」ものではなく「1個考えて・それを利用して次を考えていく」パターンを「多段階」と言ってます。

例えば、、、

2024年・数学

2024年北海道公立高校入試問題 数学 より
  • 二等辺三角形を並べたら12個並んで、図2みたいな形になった、と言ってる
  • ①を点対称で移動して、⑨に重なるのは「何度回転移動したとき」か?という問題

ですね。情報が多い(図になってたり・言葉だったりが多い)ので、解くために整理整頓していかないと解けないですよね(情報の整理整頓も多段階でしてますよね?)。

2024年北海道公立高校入試問題 数学 より

(2)になると、、、

  • 硬貨の表裏の問題と二等辺三角形の動きが連動する
  • Xは**という動き・Yは&&という動き・Zは##という動き、として整理する必要ある。
  • 確率を求める(全パターンは何通りあって、求める確率のパターン数は?)ので、表を作った方がよさそう?

と考えて解いていくわけですね。

硬貨の状態を書き出す → 三角形がどんな動きをする、、、を整理する必要ありそうです。
確率の問題は「書いて考える」が大事なんですよね。書き出してなんぼ。頭の中で考えようとすると「頭の中いっぱい」になってしまうので、書いたほうがいいんですが、、、。
「手を動かして考える」ことを嫌う生徒が多くて困るんですよねー。

さて、「多段階で考えないと解けない」という表現の意味がわかっていただけたでしょうか?

国語や社会の問題だとわかりにくかったかもしれませんが、本質的には同じで、、、一つ考えて、それを使って次を考えて、、、、を繰り返す」ことで解答に行き着くものを「多段階と呼んでいます。

多段階思考、どうしたらいい?

多段階で考えれる/考えられない、の差は何でしょう?
もしかすると「小学校から授業でやってきていることをちゃんとやってない」だけかもしれません。

学校では「多段階思考の練習」になるような授業が行われていて、、、。
例えば作文であったり発表だったり、「自分の意見を自分なりにまとめる」のも多段階で考える練習になります。

国語や社会、理科で多くある「グループでの学習」も多段階思考の練習(訓練)です。
そこで「いろいろな意見をまとめる」とか「たくさんの情報から重要なものを取捨選択」とか「情報の整理整頓」といったことを学ぶわけです。
数学(算数)の文章題は言わずもがなですね。文を読んで・式を考えて・解く・解いた答えを使って次の式を考えて、、、、とつながるわけで。数学は「勝手に多段階思考の練習になる」はずなんですが、、、「出てる数字をテキトーに+ー×÷して、それっぽい数字を答えにする」という事をする小学生が一定数居まして、、、それしてるとヤバい、、、のは算数だけじゃなくなる、ってのはここまでの話を読むとわかってもらえるかと。

この手の授業(作業)ってサボろうと思ったら全部サボれるわけです。
グループ授業だと「周りの人がやってくれたのを、写すだけ」って子は少なくないと思います。
でも、そーすると、、、「何をどうする」という「手順を学んでいない」ので「次のグループ学習」でも同じように写すだけになって、、、。
そのまま行くと「一人で考える力がない」=「多段階で考える力がない」という状況に陥るわけです。
算数とか数学は「先生がヒント出すまで待つ」ことをする子がいます。ジッと待ってるんですよ、ホントに。塾でも、家庭教師でも。ヒント出てくるのが当然、という感じ。

、、、ヤバいですよねえ?どうしましょうか??
→ 一つの解答は「授業を真剣に取り組め!」ですね。

もしくは、「意識して考える練習をする」必要があるわけですが、、、これ、スゲー面倒です。
小学校から授業に積極的に参加していれば、「考える力」は身につくんです。それを別の方法使ってわざわざ時間取って、自分でやる、、、、のは悪手です、絶対に

、、、とはいえ、学校の授業の形だと「身につけにくい人」が居るのもまた事実でして。
どーしましょうか?
個々別々、その生徒さんごとに対応のしかたが違うと思いますし、時間はかかると思いますが、、、方法はあると思います。、、、がその話を書き始めると長くなるので(既に予定よりずいぶん長くなっていますm(_ _)m)、、。
今回は、ここでおわりにしますm(_ _)m

また、多段階思考のお話や生徒さんごとにどうやると「考える力が身につくか」のお話は書きたいと思います(お話会では既にしてるんですよね、実は)。

ということで、まとまらず、おわりm(_ _)m

この記事を書いた人
すぎやま

札幌の家庭教師屋さん・家庭教師がつくる塾BASEの人
名古屋出身・富山大学卒・富山で小学校講師・北海道で公立高校教員・家庭教師をしていたら塾ができていました。

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